完成を約1ヶ月前に控えた新工場。
◇壁も出来あがりつつあります。
◇大型の工作機械を据付けるため、相当な基礎工事が必要です。
残り約1ヶ月、国慶節などの休日もある為、タイトな日程となりますが、
とにかく現場の方々にラストスパートを期待します!
輸出許可申請でも特に時間を要したのがこちらの機械。
安田工業株式会社製縦型マシニングセンターYBM9150Vである。
機械精度の基準が、通常のE/L申請の基準を上回り、更に役務申請書も必要となり、東京に居残りの上、徹夜覚悟で必死に書類作成し申請したあの件である。
つまり、それほどまでに機械精度が高いという訳である。
岡山の金型工場では、安田工業製YBM950Vを既に2台導入済みで、加工能力の高さは実証済みである。
今回の鄭州新工場でもアルミダイカスト金型の設計から製作までを行い、ダイカストマシンも250t・300t・900tとラインナップも揃える。
その上で、950Vよりも更にスペックが上にあたる9150Vを選定。9150Vという機械自体、中国への輸出実績が無く、今回が初めてになるとの事。
従来の放電加工機~ワイヤーカットなどに比べ飛躍的に納期・品質のレベルも上がる。
いよいよ10月初旬に船積みされ、神戸港から天津港経由で鄭州へと向かう。
Y A S D A YBM9150V 【スペック概略】 ストローク:X1500×Y900×Z450 スピンドル:BBT40(24,000rpm) コントローラ:FANUC 31i (HAS-3) |
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大型サイズのテーブルと独自にチューニングされた高性能スピンドルにより、大物から曲面の仕上げ切削まで、高速・高精度・高品位な加工が行えます。 ダイカスト金型の主型の切削>>> |
新工場の新規設備についての紹介。
新工場では、従来の鋳造用金型や、ロストワックス金型及び機械加工に加え、アルミダイカスト金型の設計・製造をはじめ、アルミダイカスト自体の生産も行う。
アルミダイカストマシンの詳細については以前にもご紹介した通りである。
⇒ ダイカストマシン導入決定
それに向けて今回はドイツの工作機械メーカーDMG社の5軸加工機(複合マシニングセンタ)を購入した。
DMG DMC100U duoBLOCK 【スペック概略】 ストローク:X1000×Y1250×Z1000 スピンドル:HSK-A63(18,000rpm) 2パレットチェンジャー | |
コントローラーにはドイツ ハイデン・ハイン社の最新機種を搭載。 更に高精度加工のためのオプションも各種装備しています。 HEIDENHAIN iTNC530 >>> | |
垂直から水平まで回転するB軸と高回転の主軸により、1チャッキングでの多面加工から微小な深彫り加工まで、幅広い領域で威力を発揮します。 NC制御傾斜ミーリングヘッド>>> |
この度、日本での販売展開についてDMG社と森精機製作所とが提携する事となり、その第一号機の契約が当社となったのである。
生産自体は本国ドイツで行われるため、近況については写真のみでの確認となる。
( 直近の状況 )
しかし、これも日本同様に中国向けの工作機械については、安全保障貿易の審査を通過してからの輸出になるとの事。
それらの事をクリアして、いよいよドイツから中国への輸送となる。
4年前の申請時と比較しても、日本から機械の輸出が増加しており、承認が下りるまでには1ヶ月はかかるとの事。
そうなると申請資料の追加資料作成及び訂正をするにしても、今回は岡山に帰って出直す時間的余裕はない。
新工場の完成予定は10月末である。何としてもここで通してもらわねばならない。
「受理して貰えるまでは絶対に岡山には帰らない!」と決め、そのまま東京に居残って作業をすることにした。
居残るのはいいが、しかしながら一体どこでどうしたものか?と悩んだ結果、昨年1年間セミナーでお世話になった「志縁塾(しえんじゅく)」の島田社長や大谷先生やスタッフの方々に相談。
二つ返事で快く受け入れて頂き、事務所の一角を貸して貰い作業をさせて頂いた。
「自分の家のように使ってくれていいですよ!」と本当に暖かく迎えて頂いた。
一人黙々とパソコンと向き合う事数時間、作業は深夜にまで及ぶ。
膨大な量の資料を作成し、翌日も午前の部で面談して貰い審査。担当審査官の方も「よく岡崎さん一晩でこれを作られましたね?寝てないのでは?」と声をかけてくれた。とにかくこちらは必死である。
やはり3つの案件については完全な資料になるまでは時間がかかる。4年前と比較しても、相当に審査は厳しくなっている。日本の工作機械は精度が良い為、軍事産業などに転用される事を防ぐ為である。
再々度の追加訂正が必要となり、午後の部にも出直して面談。二日目が終了したところで、あと少しで受理して貰える所まできた。
そしてまた志縁塾に引き返し、連日連夜とお世話になる。
三日目にして、やっとの事で2件の輸出許可申請と、3台の機械再移転についての申請を受理をして貰い、晴れて岡山へと帰ることが出来た。
お世話になった「志縁塾」の方々の暖かいご支援のおかげで完成に至れた。
改めて感謝である。 (志縁塾のホームページはこちら)
そして、何としてもやり切る覚悟で臨む事は重要な事だと改めて実感した今回の出張でもあった。
全ては新工場建設、そしてこれからのグループ発展のために!である。
新工場建設に伴い、当然ながら生産能力増強により新たに工作機械を投入する。
海外に工作機械を輸出する場合には、機械精度の内容により、事前に経済産業省に申請の上、認可が必要となる。
これには膨大な量の書類作成が必要となり、なかなかに手間のかかる作業でもある。
前回は鄭州日新精工有限公司に工作機械を輸出する際に、申請をしたのだが、今回は新会社にあたる鄭州日新精密機械有限公司に新たな工作機械を輸出するために書類を作成の上、経済産業省を訪れた。
(経済産業省)
記録によると、偶然にもこの日は4年前に日新精工の申請に訪れた日と同月同日であると知り驚く。
今回は日本から輸出する、安田工業(株)製YBM9150Vとヤマザキマザック製NEXUS6800ーⅡのE/L申請に加え、現在の日新精工有限公司が所有する機械を日新精密有限公司に移転させる手続きもある。
受付を済ませ、担当して頂く審査官も決まり、いざ面談。
前回の申請よりも件数が多く、また今回送る機械の精度が特に良い事や新会社設立の事など、相当に複雑な手続きが必要となり、資料の追加や訂正等を余儀なくされる。
面談は遅くまでかかり、その日の受付は終了となった為、やり直して、明日の受理を目指す!
(さすが霞ヶ関、高等裁判所・総務省・国土交通省・警視庁
外務省・農林水産省など勢ぞろい・・・。
ちなみに経済産業省はA-12出口です)
今回はとにかく空港で待たされることが多かった。
一度目は上海で。
これは到着直後に公安(警察官)が3人も乗り込んできて、後方の席で何だか「わーわー」とやりあって、結局1名を強制的に連れて行ってしまった・・・。
一体なんだったのか知るすべもないが、ただただ我々はそれを見守るしかないのだった。
(混ざってみた・・・)
また、上海から青島行きの飛行機は一時間程の遅れですんだが、青島から上海へ戻る便は、17時に空港に入って、18時半の便に対して待機したものの、待てども待てども遅れる理由すら分からない・・・。係りの方々に聞いても、とにかくアナウンスを待つようにとの事。
他のゲートでも同じ状況があるらしく、クレームをつける人たちがあとを絶たず騒がしい。
写真(右)は気休めにカップラーメンを配られるてとりあえずは黙る人たち。
結局6時間遅れで、0:30にやっとの離陸。上海に真夜中の2:00到着でホテルに入るのである。
中国では遅れるのは基本だが、毎度の事で疲れるのである^ロ^;
残暑もまだまだ厳しい日本。鄭州も39℃を記録するなどの暑さと聞いていたので、覚悟をして現地入りすると、その日は18℃~22℃・・・と少々肌寒いとまで感じる気温。
何でもこの数日間雨が続いたため、急激に気温が下がったとの事。意表をつかれ、上着が手放せない今回の中国出張でした。
出張レポートは順次させて頂くと致しまして、取り急ぎ新工場の進捗状況について報告します。
残念ながら、雨が続いた影響で、出張前(8月21日付)にアップした状況とさほど変化は無い様ですが、現地入りしてみると建物の大きさは実感出来るようにはなりました。
あと約2ヶ月での完成を目指します。
今回はいつも現場を守ってくれている番犬ちゃんにご褒美の高級ガムを持参。
名前は「貝貝(べいべい)」に決まりました。何でも中国では「貝(べい)」は「たいせつなもの」の意味で、発音的には英語の「BABY(ベイビー)」に掛けたのだとか!上手いネーミングだなと感心しつつ、貝貝に贈呈。
最初は何をくれるのか???の反応でしたが、一度口にするとやみつきの様子で、喜んでくれたようです。