MICKEYニュース第25号を発刊しました。
その内容の一部をご紹介します。
今に始まったことではありませんが、東京駅で折り返し運転をする新幹線の車両清掃作業は各方面で話題になり、雑誌等に取り上げられたりして「7分間の新幹線劇場」と呼ばれ、今や東京駅の隠れた名物の一つになっています。もし機会があればぜひ注意して見ていただけたらと思います。
到着した新幹線が折り返し運転で発車するまでの時間は12分。乗客の降車に2分、乗車に3分を要する為清掃に与えられる時間は7分です。この7分の間に1車両100席の清掃を一人で行うのですが、年間延べ5千万席の清掃を行って乗客からのクレームは4-5件といいますから驚くべき品質の高さです。
到着した車両から降りてくる乗客を笑顔とお辞儀で迎え終わると車両に乗り込み、座席やカーテンを元に戻し清掃、忘れ物の確認等すべての事を手際よく正確に完璧に済ませて降車。全員整列して笑顔で乗客の列に一礼をすると、外国人の乗客から拍手がわくこともあるといいます。
ハーバードビジネススクールでも「7分間の奇跡」として教材に取り上げられたこともあるそうです。
この清掃作業が、見ている人の感動を呼び感激されるのは清掃の手際の良さや手慣れた動きだけではなさそうです。彼らの仕事が「きれいに清掃する」だけ、「時間に間に合わせる」だけ、「クレームを付けられない仕事をする」だけならこれほど人の心を揺らすことにはならなかったでしょう。
この、新幹線の車両の清掃を請け負う会社「JR東日本テクノハートTESSEI」に働く人々は、自分たちの仕事を【車両の清掃】として考えるのでなく、【お客様に気持ちよく新幹線をご利用いただくこと】と考え、会社を【清掃会社】ではなく【おもてなしの会社】である、という意識をもって仕事をしているというのです。その意識や気持ちが作業に現れ、見る人の感動を呼ぶのだということです。
このような素晴らしい会社風土を作り上げた指導者・リーダーにも興味がわき、尊敬の念を禁じえませんが、改めて、【仕事の中に自分の役割を見いだす】ことの大切さを感じます。そして、その役割をどれほど広く、深く考えられるかによってその人の仕事の質の高さが決まってきます。
【車両の清掃】の役割を、「車両をきれいにすること」と限定して考えるのか、「お客様に良い旅行の思い出を作ってもらうこと」などと広く考えるのかでは仕事に対する使命感も誇りも全く違うものになることでしょう。
私達の日々の清掃の役割も、「職場や機械をきれいにすること」と考えるのか「安全で効率の良い職場を作ること」「機械を長持ちさせること」と考えるのかでは取り組む姿勢が違ってきます。
一度、【自分のこの仕事】は「誰の助けになり」、「何の役に立っているのか」、そのために「今の働き方で十分役割を果たしているのだろうか」と自問自答してみたいものです。
【仕事】はその人にとって【重荷】にもなり、【生きがい・誇り】にもなる。
取り組む姿勢と心構えが大きく関わっていることは確かだと思います。
2016年8月16日火曜日
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